沈黙の境界線
守ってあげたくなる。とかそんな強い気持ちは持てない代わりに、私とモカならお互いの傷を舐め合えるような。
そんなふうに勝手に、この名前のない同調感を感じては
自分でも知らないうちに、モカの姿形を想像しては、より自分に近い存在にしていたのかもしれない。
そうすることで
自分の拠り所を作り上げていたのかもしれない。
モカがラテという存在にどんな意味を感じているかなんてこれっぽっちも想像なんかしていなかった。
あの頃の私は不幸自慢をしているかのように
自分が世界で一番可哀想な存在で、自分よりも苦しい思いをしている人間なんてこの世界のどこにもいないとさえ思っていたかもしれない・・.。
だから、可哀想なモカに、あなたよりもここに心に傷を負っている私がいるよって。
ここにちゃんとあなたの理解者がいるよって。
教えてあげたかった。