沈黙の境界線


数日、パソコンの電源をいれることができないまま過ごしていた。





モカからその後の連絡がきてるかもしれないと思うと恐かった。




ベッドの上から部屋の窓の外を眺めると、この部屋からは死角にあるあの事件の場を思い出す。




痛くないはずなのに疼く腕の傷。



あんな事件があったんだ。


殺されるかもしれなかったんだ。




恐いと思うこの気持ちは仕方のないことだと思いながら



振り返り、明かりのないパソコンを見ると、悔しくて涙がにじみ溢れてきそうになる。





モカと会話がしたい。

避けているのは私のほうなのに

誰のせいにもできないこの状況が、私の弱さを強調しているようで、悔しくなる。





私の心が健全だったなら

自信をもってモカと話ができた?

会うことができた?



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