沈黙の境界線



低音なのに透き通るような声。

初めて聞いたこの声の主が誰なのか

疑問に思うこともなく、私にはハッキリと分かった。


確信があった。

一瞬の反応で、顔を上げた私の視線の少し先には、グレーのパーカーに華奢なラインを隠そうとするような太めのジーンズを着た男の子が真っ直ぐ、真剣な眼差しで私を見つめていた。





モカだ。


訪ねなくても分かる。


想像していたよりも透き通るような白い肌に鼻の高い整った顔立ちをしている。




彼がモカなんだと・・・息を飲んで少しの間、見つめていた。





「もう少しだよ。もう少しで君は変わる。変われるよ。俺がここにいて、君が生まれ変わるその瞬間を見届けてあげるから。」





彼の言葉に


何度も頷いて


震える足を一歩ずつ前へ

前へと運ぶ。



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