沈黙の境界線
モカからのメッセージを目にした時
ラテは自分がなぜ、モカと話をしてみたいと思ったのか
その理由に出会えた気がしていた。
同じ歳という共通点だけじゃない。
心に潜む孤独や闇や
誰にも打ち明けられない切実な傷みが
糸を手繰り寄せるように自分をモカへと導いたのだと・・・
確信した。
「あるよ。」
ただ一言、送信したメッセージを送った後に
まだ昼前、部屋に差し込む日の光がパソコン画面に反射して瞼を閉じた。
そして
瞼を閉じるたびに思い出す。
ひどく
赤い光景。
事件があった二ヶ月前から
絢香は外に出る事が困難になって・・・
いや、
外に出る事が恐いというよりは
事件に巻き込まれて以来
生身の人間と会うのが恐くなったのだ。