沈黙の境界線
「ありがとう。」
込み上げてくる涙を抑えながらようやく呟くと
彼は優しく頬笑み、小さく頷く。
「感じた?
君が生まれ変わった瞬間を?」
モカの言葉に、私は首を傾げて小さく首を横に振った。
「わからないよ。でも・・・変われそうな気がするよ。」
不確かな言葉で未来の約束なんかしたくはなかったけれど、私のために来てくれたモカのために、そう告げると
彼はもう一度、優しく頬笑んだ。
「ラテはもう変わったんだ。
部屋の中で震えながら閉じ籠っていた君はここにはいない。
変われた自分をちゃんと見てごらん?」
そう言われて振り返り、少し先にある自分の家を暫く見つめていた。
モカの手が私の肩をポンと叩いて
ようやく気がついた。