沈黙の境界線
「ねえ、モカ・・・私達こうして会うようになったし、名前くらい教え会わないかしら?
この間、お母さんにモカの名前を聞かれて少し困っちゃったの。」
「俺はこのままの呼び名でもいいけど。
ラテとモカなんてなんかシックリくるし。
でもこの呼び名がラテに都合が悪いなら教えても構わないけど・・・」
「じゃあ。」
そう言いかけた私の言葉に重ねるようにモカは続ける。
「教えるのは条件つきだけど。」
笑いもしない彼に、条件というのがどんなものなのか、笑顔を浮かべていた私も、静かに彼を見つめた。
「条件って、何か難しいこと?」
訝しげに探る私に、ようやく薄ら笑いを浮かべた彼は「難しいことじゃない。」と小さく笑う。
それを聞いてホッとした私も口元が弛み聞いていた。
「難しいことじゃないならいいよ。なに?」
すると彼はパソコンチェアに座っていた私の手を引き、床に座る自分の隣に導く。