沈黙の境界線
自分のことを聞かれるのが嫌いな彼に嫌われたくなくて
聞くことをしなかった。
でも、そんな事に不安を感じていなかったのは
彼も私と同じように
いつまでもそばにいてくれる存在だと信じていたから。
返事のこない携帯に何度も メールを送り
鳴らない携帯を見つめながら
声を殺して泣いていた。
この世界のどこかで
彼が一人で震えているのかもしれないと思うと
彼の名前を叫びたい衝動にかられる。
彼が孤独な時に
何もできない無力な私。
気づけば連絡の途絶えたこの10日間で、やつれ、体重が7キロも落ちていた。
もともと細身の私がそれほどの体重が急激に落ちると
あばら骨がくっきりと浮かんで、最早ただの骸のようだ。
それでも
胸がいっぱいで食事なんかとる気にもならない。
そんな時
ようやく恭吾からの連絡がきたのと同時に
一階からお母さんの泣き声が聞こえてきた。