沈黙の境界線
電車の中、携帯で新しい記事を探すとそこに記されていた真実。
「講師を襲った犯人の自供。別の人間から金でつられた」
その記事が確信をさらに恭吾へと結びつける。
空が赤く染まり始めた夕方
ようやく見つけた青い屋根の一軒家の前
逆方向から歩いてくる人影が恭吾だと分かり、走り寄る。
彼の家の前
とぼとぼと歩いてきた恭吾が
おもむろに顔をあげて私を見つけた。
「恭吾・・・」
無表情に私を見つめる彼の手には小さくてもギラリと怪しく光るナイフ
立ち尽くし
声を失う私を彼は何も言わずに見つめる。
まるで
二人の間には
踏み越えてはいけない
沈黙という名の境界線が引かれているように。