恋した人は、漫画の住人
「えっ?」

 私が考えている内に大松晋也は立ち上がっていた。今にも出て行きそうな感じだ。そして、はっとした。今、ここから出て行かれたら大変な事になる。
 へっ?何が大変かって?そりゃぁ・・・色々と、だって服がこの時代の服じゃないし。
 ・・・・・・兎に角今出て行かれたらヤバイ。

「ねぇ。」

「あ?」

「出て行くたって、行く当てあんの?」

「あるわけねぇだろ。」

「じゃあ、暫く此処にいない?」

「は?」

「だって、此処は貴方のいた世界じゃないんだよ?」

「・・・・・・・・・?」

「もしかして・・・・分かってない?」

「そういやぁ、如何して俺は此処に居るんだ?」

「・・・・。」

 今更!!?

「おい、如何した。固まってんぞ。」

「いや、何て言うか・・・今更?」

「何が?」

「何で居るかってこと。」

「そう言われれば、お前が着ている服も見たことねぇカッコだな。」

「うん、それも今更。」

 もう驚かない。コイツが何言ってももう驚かないからね。

 そんなことを考えているとドアがコンコンと鳴った。

「春~お兄ちゃんが着たぞ~~~!!」




   最悪だ・・・・・。
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