恋した人は、漫画の住人
「ああ゛?」

「っ!!」

 ビビった。私は晋也に初めてビビった。やっぱり生は怖い。

「だって・・・その服じゃあこの時代とは違い過ぎるから。」

「でも、どーしよーもねーだろ?」

「うっ・・・」

 確かに此処には男物の服なんてない。

「じゃあ、俺はこんままでいいからよ。」

「でも・・・あっ!」

 よく見たら晋也は結構小柄だ。21歳にしても慎重が確か170cmだったはず(公式キャラガイドブックより)私は165cmだから私のジャージなら着れるかも。

「ちょっと待ってて・・・」

「あ?」

 丁度、ジャージがいらない時期だった。竹川女子高校は指定されたジャージがないから生徒は自分でジャージを買う。

「これ、着てみてください。」

「これ、お前のじゃないよな?」

「勿論私のですけど」

「着れるわけねーだろーが。」

「でも、一応着てみてください。」

「・・・」

 晋也は渋々といった感じで洗面所の方へ行った。
 数分経って彼は洗面所から出てきた。

「着れたんですね。」

「悪かったな。」

「誰も悪いなんて言ってないですよ。切れてよかったです。」

「・・・」

 晋也はいかにも不機嫌だった。
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