私の最強冷酷彼氏様

 ただアカツキの温もりを感じて瞼を閉じた数分。
 
 アカツキの温もりが、そっとはなれる。
いつの間にか涙は止まっていて、今ではアカツキの顔がはっきり見える。


「荷物もってこい。」

「え?」

「泊まるのに必要な道具と服だ。」

 あまりにも急な話に慌てる私に、アカツキは「はやくしろ」と、言う。

 とりあえず、言われた通りに必要な物を鞄につめる。

 玄関に行くともうアカツキの姿はそこにはなくて、慌てて外に出る。


 車によりかかり、煙草を吸っているアカツキに近づき、「持ってきたよ…」という。

 その声に、煙草を地面に落とし軽く靴で踏むアカツキ。

「乗れ。」

 アカツキの言葉に高級車の後部座席に乗り込む。
 
私が乗ったのを確認すると「だせ。」そのアカツキの声で車が動き出す。

 あぁ、この声で。

この一言で、どれだけの人間が動くのだろう。

 それほどアカツキは力を持っていて信頼されている。


 そんなアカツキの隣に座っていいのだろうか…

 付き合っているか、付き合っていないかもはっきりしていないのに。

 


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