私の最強冷酷彼氏様
貴方と出会った夜



「もういい!お母さんなんてしらない!」

 あの日、ちょっとしたことでお母さんと喧嘩した。

 もともと、父親がいなかった私はお母さんと二人で暮らしていた。

 お金がないのに将来のためだといって、お母さんは学費の高い進学高へ私を通わせた。
 だけど、お父さんのいないこの家庭では到底払えるはずのない学費だった。

 それでも、お母さんはパートを掛け持ちして何とか私を学校へ通わせた。

 その学校はもちろん頭のいい子や、お金持ちばかり通っていた。
 そんな学校に溶け込むことなんてできるはずもなく、やめたいと泣きながら必死でお母さんに頼み込んだ。
 
 それでもお母さんは、
「ぜったいやめさせない!二度とそんなこと口にしないで!」
 そういった。

 そんなお母さんが嫌で、その日初めて家出をした。

 
 でも、もちろんまだ高校生の私に行く宛なんかなくて、友達も少なかった私はただふらふらと歩いていた。

 そんなとき目に入ったのが、ベンチ、滑り台、ブランコしかない公園。

 その公園はもうずっと使われていないのか、草がのびて、遊具がすべて錆びていた。

 あぁ、今日はここで寝よう。

 そう思って公園に足を踏み入れた時、微かに煙草のにおいがした。

 ゆっくりと視線をずらしてベンチを見る

 
  

 その時、私は思ったんだ



 あぁ、こんなに綺麗な人がいるんだなぁ。

 あぁ、こんなに煙草があう人がいるんだなぁ。


 
 
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