いけない!?同居生活


「ありがとな」



帰る倖也さんを玄関まで見送ると、言い辛そうにそう言われた。
お礼言われるようなことあったっけ?



「春馬のあんな笑顔、久しぶりに見た」

「え・・・。倖也さんでも?」

「は?」

「いや・・・倖也さんには私の知らない春さんを見せてるのかと」

「あのな。それは当たり前だろ。お前なんかよりずっと付き合い長いんだ」





あ、それは前提だったのね。
そんな惚気なくてもいいじゃん。





「じゃなくて。お前が、青木に言ってくれた事。俺も、少し助かった」

「え?私が言ったこと?」

「確執をとるのが先だって。そうは言っても、そんな簡単な事じゃないし。俺は許すつもりはない。でも、第三者からそう言われるのは何か、嬉しかった」



倖也さんも倖也さんで、なにかを背負ってる。
わからないけど、少しでも心が軽くなったのなら良かった。




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