いけない!?同居生活
「・・・ありえないっつぅの」
思えば、きっかけはなんだっただろうか。
初めて沙紀が店に来た時の事を思い返す。
――・・・美味しいくて酔えるやつお願いします
そう言った沙紀の顔は、ひどく落ち込んでいて、荒んでいた。
ああ、きっと何かあったんだろうと、すぐに気付いた。
女の落ち込む原因なんて、どうせ男にフラれただとか、そんなちんけな事だろう。
そう勝手に決め込んで、それでも営業スマイルは忘れないようにと顔に張り付けた。
――ひどいと思いません?いきなりクビって!私が、なにをした!?…むしろ何もしてないのがいけなかったの?
でも、その子の悩みは思ったほど悲惨で。
あまりにも、可哀想だと思った。
そんな風に思うこと自体不思議だった。
例えどれだけ不幸な女が現れたところで、自分の女に対する嫌悪感は消えない。
そんなことはこれまでの人生の中でわかってた。
どうしたって、女を許せない、弱い自分。
逃げたままの、情けない・・・自分。