いけない!?同居生活


「なに、既婚者とか?」

「ち、違うよ。相手はいない人だけど」

「沙紀。俺は、お前の兄貴だし、ここにいるのも皆家族だ。だから、沙紀の事はなんでも背中を押してやりたいし、応援したいと思ってる」

「お兄ちゃん・・・」

「だからこそ、沙紀には幸せになってもらいたいって思ってるよ。お前のいうかなわない恋がどういう事なのかわからないけど。お前が泣くような思いをするんなら、俺は応援できない」

「・・・大丈夫、だよ。泣かないよ」




お兄ちゃんの優しい手が私の頭を撫でる。
昔から、お兄ちゃんはこうやってよく私の頭を撫でてくれてた。


褒める時、怒った後のフォロー、慰めてくれる時。
私はこの手に救われてきたんだ。




「お兄ちゃん。ありがとう。私、泣かないよ。自分で決めた恋なの。だから、大丈夫」

「そうか」



春さんを好きになったのも。
その恋をしまうって決めたのも。


全部自分。

後悔なんてしない。



きっと、しないよ。




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