いけない!?同居生活


「―――おいし」

「はい。美味しいですね」



時計の針はもうすぐ12時を指そうとしている。
年が変わる。
春さんと一緒の年越し。




「男のくせに・・・情けないでしょ」

「はい?」

「泣いてすがって・・・。今日だけじゃなくて今までも」




一度上げた蕎麦をすっと元に戻し、春さんは箸をおいた。
今までも・・・。
フラッシュバックで苦しい時のことを言ってるのだろうか。



「情けなくなんかないですよ。男の人だからって強いとか、そんなのないです。男の人だって、辛い時は泣いていいし、トラウマにだってなります」




春さんを責められるわけがない。
責めるなら、春さんをこんなに追い詰めた過去の人たちだ。




「もっと早くに、さっちゃんに会えてたら、何か変わったのかな」




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