いけない!?同居生活
「あの、すみません。僕・・・。口から出まかせを」
「あ・・・、ううん。ありがとう。おかげで助かった」
さっきまでの凛とした態度から、ふわっとしたハチ公へと戻る。
徹平くんが来てくれてよかった。
多分、私だけじゃあんな風に撃退できなかった。
どこかで、私が好きだったころの先輩を思い出してしまうから。
戻ってくれるんじゃないかって。
好きな気持ちが戻るわけじゃないけど、話せば本当にわかってくれるんじゃって・・・。
でも、もう無理なんだってわかった。
「ごめんね・・・巻き込んで」
「いえ。でも、ひどいですよ。一緒に帰ろうと思ってたのに、僕がトイレ行っている間に帰っちゃうんですから」
「あ、ごめんね。急いで帰ろうって思ってたら、逆に迷惑かけちゃった」
「お詫びに、僕に送らせてくださいね」
「それ、お詫びなの?」
「はい」
にこっと笑った徹平くんのおかげで、身体の震えはすっかり消えていた。