いけない!?同居生活


「春は、うちの娘のアイドルなんだから。笑っててくれないと」

「かれんちゃん?」

「休みの日、絶対聞かれるんだ。春はどうした、いつ連れてくるんだ、って」

「また、会いたいな。誠にそっくりだよね」



かれんちゃん。
確か、今年高校1年生になった誠の一人娘。

誠の奥さんは10年くらい前に病気で亡くなって、それ以来男手ひとつでかれんちゃんを育てて来たらしい。

初めの頃は、よく誠の家にお邪魔してかれんちゃんと一緒にご飯を食べさせてもらってた。




「まだまだ手はかかるし、年頃だからなぁ。難しいよ、女子高生は」

「父ちゃん、頑張れ」

「だからこそ、春に協力してほしいんだよ。あいつ、春の事じゃないと会話してくれねぇのよ」

「そういう年頃でしょ」




誠は、面倒見がいい。
俺をここまで面倒見るくらいには。

責任感も強いし。
俺に対しても、それなりに感じてるんだろうことはわかる。


誠のためにも、前を向く時なんだろうと思う。



――前を向くって、どうやったらいいんだろうな。




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