いけない!?同居生活
「兄とは7つ歳が離れてて。あまり遊んでもらった記憶もないですしね」
「・・・そう」
「僕を生んだ理由、聞いてくれますか?」
「理由?」
「はい。・・・兄は体が弱くて、小さい頃は何度も入院したらしいんです。だからです」
「え?」
「もしもの時のための、保険とでもいいましょうか。でも、無事兄は元気な身体を得ることができ、晴れて僕は用済みってわけで。居場所がない僕はあまり家には帰りたくないんです」
なんともないように話しているけど、平気なはずがないよね。
家族って、親って、当たり前に子どもの事を愛してくれる者だって思ってた。
でも、そうじゃないことだってあるんだ。
「だから僕は、早く社会に出て。あの家を出るために頑張ろうと思ってるんです」
「そっか」
「はい」
「徹平くんは、頑張り屋さんなんだね」
「へへっ」
照れくさそうに笑う徹平くんの表情に、さっきまでの寂しさはなくなっていた。