いけない!?同居生活
「もう少しだけ、待っていて・・・。すべて終わらせて、必ず戻ってくる」
「・・・春さん」
「不思議なんだ。父親を前にしても、心が穏やかで。・・・すごく、満ち足りてる」
春さんの声は、力強く。
不安なんて一ミリも感じられない堂々とした声。
ああ、春さんは大丈夫だ。
「それはきっと、沙紀に出会えたからで。俺の心の中に、沙紀がいてくれるからで」
「・・・はい」
「だから、俺は強くなれる。前を向いていられる」
私の存在が。
春さんの支えになる。
「俺はもう、一人じゃない」
「はい!春さんは、一人なんかじゃない!」
「・・・うん」
身体を離した春さんは、にっこりと微笑んだ。
それは今まで見た笑顔の中でも一番の笑顔。
全てふっ切れた、満足した顔だ。