いけない!?同居生活


「末恐ろしいですね」



さっきまで取引をしていた男が俺を呼び止める。
立ち止まり、冷えた視線を向ける。




「息子に裏切られるなんて、あの人も可哀想な人だ」

「そう思うなら、あなたが助けてあげたらよろしいのでは」




冷えた表情でそう言うと、男の顔が引きつった。





「ご冗談を。先に裏切ったのは、あちらですよ」

「・・・そう思うなら、余計なことは言わないでいただきたいですね」

「それは失礼しました。ですが、こうして引き受けたからには、しっかり立て直していきますよ」

「ご勝手に。もう俺には関係のないことなので」





最後ににっこりと笑って部屋を出た。
カツカツと音を立てながら堂々と歩く。



未練も、後悔も、なにもない。
これで、すべて終わらせられる。





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