南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )
まるでスローモーションのような出来事だったのに、何1つ抵抗出来ずに為すがままの私は
未だに何が起きたのか理解できていません。
ーーーーーガタッ
「!」
唇が離れていく寸前、教室の入り口から音が聞こえて慌てて振り返れば
「…へぇ、何、お前って男なら誰でもいいってやつ?」
「み、なみくん…!!」
今1番、会いたくて、だけど会いたくなかった。見られたくなかった。知られたくなかった。
今までのどんな時よりも、冷たく…軽蔑の眼差しで私たちを見つめている
大好きで仕方ない、南くんがそこにはいた。
「あ、待って!!」
そのまま教室に背を向けて歩き出す南くんを慌てて追いかける。
階段前、やっと追い付いた南くんの腕に触れようとした私の手は、呆気なく振りほどかれてしまった。
「違う、違うの!!ねぇ、南くん!」
「…キスは初めてじゃないって、こういうことかよ。」
「っ!本当に違っ」
鋭い南くんの眼差しに、無性に泣きたくなって、思わず唇を噛み締める。
本当に違うのに…ファーストキスの相手は南くんなのに…。
きっと、嫌われちゃったんだ。
こんな目をしてる南くんは、出会ってから見たことがない。