南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )
「森坂〜!ちょいちょい!」
「…?なんですか?」
文化祭準備中、忙しくあちこち駆け回る私を呼び止めたのは
私がこんなにも忙しくしている元凶である担任。
「悪いな、これ空き教室まで運んでくれ!」
そう言って、先生が指差すのは
「いやいや!無理でしょ、その量はさすがに…!」
思わず突っ込んでしまうほど山積みにされたペンキの空き缶。
ザッと10個…いや、もっとある?
片手で5個ずつ…イケるか?
いや、いやいや、無理!絶対!
「そうかぁ…やっぱり1人じゃ厳しいか。…お!南!グッドタイミングだ。」
「えっ!?」
「………。」
先生の視線の先、私の肩の向こう側…振り返ったそこには
不機嫌丸出しの南くんが真っ直ぐ私を見据えてて、久しぶりに交わる視線にドキドキと鼓動が高鳴るのと同時に
気まずさの波が押し寄せる。