南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )
「悪いな南、これを森坂と一緒に空き教室まで運んでやってくれ!」
南くんに、さっき私にしたようにペンキの空き缶を指差す先生に冷や汗が噴き出す。
「…あ、いや!先生?…私…1人で行けるかも!!こう見えて怪力だし…だから、」
「何遠慮してんだよ!こういう時こそか弱さをアピールするもんだぞ、森坂!…じゃ、2人とも頼んだな!」
先生は知っている。
私が南くんのことを大好きだという事を…。
それを利用して南くんが熱を上げた時は私に家まで届け物をさせたぐらいだもん。
いや、あれは…もう、神でしたけど!!あの節はありがとう担任。
でもね?今は違うんだよ、察して?
お願い、2人きりにしないで、行かないで先生〜〜〜〜〜〜!!!
なんて、私の心の声が届くわけもなく、
「……………。」
「…………。」
取り残された私は、この凄まじい沈黙に耐えられる自信がありません。
でも、それでも嬉しいって思っちゃう私は重症だ。
近くに南くんがいる。
それが、ただ、こんなにも嬉しい。