南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )
「ただいま。」
「お邪魔しま〜す…」
来ちゃった。
結局、ノコノコついて来ちゃった。
いや、違うんだよ?
確かに南くんの家に遊びに来てみたい!!っていう欲望はあったけど
あくまで今日は、ショコラちゃんを…見に来たんだよ?
「おかえり、瀬那にぃ。…あ、この間の!」
「あ、こんにちわ!クラスメイトの森坂 佑麻です。今日はいきなりお邪魔してごめんなさい。」
リビングから出て来たのは、もう既に着替えまで済ませている南くんの妹。
そう、私が南くんの彼女だと思って1人でモヤモヤした桃城の女の子。
それより…瀬那にぃ。って!!!
可愛い!可愛すぎる!!
「あの節はありがとうございました!おかげでスパイク無事届けられて…あ、私 妹の乙葉(オトハ)です。」
「…何、スパイク届けてもらった日に言ってた”可愛くて優しい親切な女の人”って…」
私たちの会話を聞いていた南くんは乙葉ちゃんに、まさかと言いたげな顔を向けた。
「そう、佑麻さんだよ!」
「そ、そんな!私なんて全然…!」
嬉しい、ニヤける。
こんな可愛い子にそんな風に思ってもらえてたなんて…それなのに私は1人でモヤモヤして…最悪だ。
「…乙葉、ちょっと”可愛くて優しい親切な女の人”って表現、無理ある。」
「んなー!!ど、どういう…」
「まんま。」
「っぐふ……」
私と南くんのやり取りを見ながら、”仲いいんですね”と笑った後、乙葉ちゃんは”どうぞ、上がって下さい”と先にリビングへ入って行ってしまった。