南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )
「…言って、誰?」
「し、嶋中くん?」
「他の男の事 考えてんの?…なら、俺のことでも悩んでよ。」
ドクンッドクンッと規則正しい心臓の音が、一定のリズムを刻む。
「っ……」
先のことが分からなくて、息を呑むしかない私を真っ直ぐ見つめた嶋中くんは
「俺だって、森坂が好きだよ。俺のことも少しは考えてよ。」
「なっ…何言って……!」
そんな訳ない。
1日に2人から告白されるなんて、そんな夢物語…あってはならない。
「信じてくんないの?…なら、態度で示すから。」
「た、態度…?ってか、私なんかが1日に2人から告白されるなんてあり得ないっていうか…」
少しだけ嶋中くんと距離を取れば、予鈴が鳴り響いた。
次は帰りのHR。
教室に戻らなくちゃ。
「戻ろう。続きはまた修学旅行で。」
「あ、待って…!しゅ、修学旅行って…」
なるほどね。少しだけ冷静になってきた。私のことを好きな人たちは、私の話は聞いてくれないらしい。
スタスタと先を歩く嶋中くんの背中をしばらく眺めた後、私も足早に教室へと向かった。
茉央ちゃん…今あなたがとても恋しいです。