南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )


つまり、カバンの中にあるクッキーは行く当てがないってわけだ。

もちろん茉央ちゃんは宮坂くんにあげていたし、宮坂くんの作ったクッキーを茉央ちゃんは貰っていた。


その光景を見て、微笑ましいなぁ〜って気持ちと祟ってやる〜!って気持ちの狭間で揺れたのは私の心です。


「…あげる、クッキー。」

「っえ!?」


私の言葉にビックリしたのか工藤くんは大きく目を見開いた。


「だから、工藤くんにクッキーあげる。ちょっと待って…」


ガサガサとカバンからラッピングされたクッキーを取り出し”はい”と差し出す。


「…え、本気?今日は瀬那にはあげないんだ?」


そんな言葉とともに、工藤くんの視線はカバンを片手に教室を出て行こうとしている南くんへ向けられた。
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