南くんの彼女 ( 熱 烈 希 望 !! )


「……なんで。」


口にしてから、ハッとする。

”なんで”なんて分かりきってることじゃん。


南くんが、私を好きじゃない。
ただそれだけの事なのに、どうしてこんなにも胸が苦しいんだろう。


紙にはなんて書かれてたのかな?

南くんと一瞬、目があったのは気のせい?

南くんが手を引いて走った後輩は…南くんの事を好きになったりしない?


変な不安ばっかり募っては、積もっていく。


気付けばとっくに南くんはゴールしたみたい。もう南くんの姿も、一緒に走った後輩の姿もなくて、大事な南くんのゴールする瞬間を見逃したことに落胆。


「…南くんの、バカ。」

小声でボソッと呟いた言葉に、

「…誰がバカだよ。」


すぐ横で声が聞こえて思わず目を見開いた。
< 50 / 288 >

この作品をシェア

pagetop