BLACK BLOOD
それからササキはただ黙って私の話を聞いてくれた。
父親に暴力を浴びせられ続けたこと、
体から痛みと痣が消えないこと。
全て話し終えてもササキは一つも気持ち悪がる素振りは見せなかった。
無表情、無反応。
「つまり、自分には何もないから死ぬこともたいしてどうでもいいってこと?」
ただの確認事項。
「そういうこと。だからササキのことも知りたい。仮に周りにササキのことを言いふらしたとして、何か私にメリットは?」
「ない。」
だろうな。と内心思った。
あと2ヶ月もある命。
どうせなら誰かのために最期くらいくれてやる。