ナイショの恋人は副社長!?
*
「へぇ。いい度胸してるんだな。『助けて』って叫ぶわけでも、泣くわけでもないのか」
絶体絶命であるにもかかわらず、優子はそこまで怯える様子を見せない。
男たちは、それをただの強がりだと決めてかかる。
「だけど、もう少し怖がってくれなきゃ。俺ら、カッコつかないじゃん?」
そう言って、ひとりの男が優子へと手を伸ばしかけた。
その時、ジャリッという靴音に続いて声が割り込む。
「彼女から離れろ!」
威勢のいい声に、その場にいる全員が振り向いた。
人など来ないだろう、と思う場所を選んだ男たちが驚くのは当然だ。
しかし、優子はその理由以外にも、驚かされる。
「ふっ、副……!」
現れたのが敦志だということに、まず吃驚した優子は、『副社長』と言い掛けてやめた。
瞬時に冷静な判断が下り、身元がバレることを懸念して口を閉ざす。
この状況で咄嗟にそう考えられる優子だが、今もなお目を剥き、敦志を見ていた。
(今の声……副社長だったよね?)
さらにびっくりさせられたのは、敦志の先程の声だった。
その声は、ビクリと肩を上げてしまうような、鋭く凄みのあるもの。
それは、温厚である敦志からは想像もできない。男であっても畏怖させられるだろうと感じた。
「聞こえなかったのか? それとも、理解できないのか」
「……なんだと? お前、誰だよ。優等生ぶったメガネくんが、ひ弱そうなクセして女を助けるって?」
優子に手を出しかけていた男が、敦志へ歩み寄り、睨みつける。
もう一方の男の注意も、今は敦志に向けられていた。
(とりあえず、彼らの目はオレに向いた。でも、どうするか? 啖呵を切ったはいいものの、目立つ行動は控えないと)
会社(純一)に迷惑を掛けないようにしなければならないと、敦志は問題にならないように収拾をつける方法を考える。
しかし、その考えも纏まらないうちに、敦志に近づいていた男が拳を振り上げた。
(マズイ――!)
「へぇ。いい度胸してるんだな。『助けて』って叫ぶわけでも、泣くわけでもないのか」
絶体絶命であるにもかかわらず、優子はそこまで怯える様子を見せない。
男たちは、それをただの強がりだと決めてかかる。
「だけど、もう少し怖がってくれなきゃ。俺ら、カッコつかないじゃん?」
そう言って、ひとりの男が優子へと手を伸ばしかけた。
その時、ジャリッという靴音に続いて声が割り込む。
「彼女から離れろ!」
威勢のいい声に、その場にいる全員が振り向いた。
人など来ないだろう、と思う場所を選んだ男たちが驚くのは当然だ。
しかし、優子はその理由以外にも、驚かされる。
「ふっ、副……!」
現れたのが敦志だということに、まず吃驚した優子は、『副社長』と言い掛けてやめた。
瞬時に冷静な判断が下り、身元がバレることを懸念して口を閉ざす。
この状況で咄嗟にそう考えられる優子だが、今もなお目を剥き、敦志を見ていた。
(今の声……副社長だったよね?)
さらにびっくりさせられたのは、敦志の先程の声だった。
その声は、ビクリと肩を上げてしまうような、鋭く凄みのあるもの。
それは、温厚である敦志からは想像もできない。男であっても畏怖させられるだろうと感じた。
「聞こえなかったのか? それとも、理解できないのか」
「……なんだと? お前、誰だよ。優等生ぶったメガネくんが、ひ弱そうなクセして女を助けるって?」
優子に手を出しかけていた男が、敦志へ歩み寄り、睨みつける。
もう一方の男の注意も、今は敦志に向けられていた。
(とりあえず、彼らの目はオレに向いた。でも、どうするか? 啖呵を切ったはいいものの、目立つ行動は控えないと)
会社(純一)に迷惑を掛けないようにしなければならないと、敦志は問題にならないように収拾をつける方法を考える。
しかし、その考えも纏まらないうちに、敦志に近づいていた男が拳を振り上げた。
(マズイ――!)