ナイショの恋人は副社長!?
ノートの中身にハッとした矢先、後ろからヴォルフが手を伸ばし、敦志の肩を掴む。
敦志は振り向いてヴォルフと目を合わせると、少し間を置いて低い声で答えた。
「……特に有力な情報ではない。でも」
「でも?」
肩に置かれた手を振り払い、再びノートに目を落とす。
そこには綺麗な文字が羅列されていて、書いた人間の性格が表れていた。
(やっぱり彼女の意思だとは思えない。きっと、他にもひとりで抱えていたことがあるはずだ。だから、あんな顔をして去っていったんだ)
それを聞いてあげることをしなければ。そして、それを聞く役は自分でありたい、と敦志は強く思う。
「……サオトメ?」
訝し気な顔をしてヴォルフが声を掛けるが、敦志の耳には届いていないようだ。
敦志の頭の中は、目まぐるしく思考を繰り返している。
(このノートは、まさにさっき芹沢さんに聞いたものだ。彼女の大切なこのノートがこんなところに落ちていたということは、やはり何かあったんだ)
ノートを閉じると、それを持つ手にグッと力を込める。
「どんなことをしても、彼女を探し出す」
ヴォルフは、ここまで鋭い瞳をした敦志の顔を初めて見た。
物腰が柔らかそうだった初対面とは打って変わった顔つきに驚いて、目を丸くする。
ヴォルフの視線など気にも留めず、敦志は考えていた。
そして、優子の言葉にピンときて、弾かれたように顔を上げる。
――『大人しく父親の言うことに従って』
(確か、彼女はひとりっ子だと言っていた。実家は道場……もしかして)
解決の糸口が見つかったかもしれないと思うと気持ちが急く。
敦志は今しがたしまったばかりの携帯を取り出し、再度耳に当てた。
敦志は振り向いてヴォルフと目を合わせると、少し間を置いて低い声で答えた。
「……特に有力な情報ではない。でも」
「でも?」
肩に置かれた手を振り払い、再びノートに目を落とす。
そこには綺麗な文字が羅列されていて、書いた人間の性格が表れていた。
(やっぱり彼女の意思だとは思えない。きっと、他にもひとりで抱えていたことがあるはずだ。だから、あんな顔をして去っていったんだ)
それを聞いてあげることをしなければ。そして、それを聞く役は自分でありたい、と敦志は強く思う。
「……サオトメ?」
訝し気な顔をしてヴォルフが声を掛けるが、敦志の耳には届いていないようだ。
敦志の頭の中は、目まぐるしく思考を繰り返している。
(このノートは、まさにさっき芹沢さんに聞いたものだ。彼女の大切なこのノートがこんなところに落ちていたということは、やはり何かあったんだ)
ノートを閉じると、それを持つ手にグッと力を込める。
「どんなことをしても、彼女を探し出す」
ヴォルフは、ここまで鋭い瞳をした敦志の顔を初めて見た。
物腰が柔らかそうだった初対面とは打って変わった顔つきに驚いて、目を丸くする。
ヴォルフの視線など気にも留めず、敦志は考えていた。
そして、優子の言葉にピンときて、弾かれたように顔を上げる。
――『大人しく父親の言うことに従って』
(確か、彼女はひとりっ子だと言っていた。実家は道場……もしかして)
解決の糸口が見つかったかもしれないと思うと気持ちが急く。
敦志は今しがたしまったばかりの携帯を取り出し、再度耳に当てた。