ナイショの恋人は副社長!?
「――君は、アツシなのか?」
驚倒しそうになりながら敦志を指差して問うと、敦志は綺麗なお辞儀をし、真っ直ぐ見つめて答えた。
「ご無沙汰しております。その節は、本当にありがとうございました」
「早乙女敦志……そう言われたら、そんな名前だったかもしれないな……」
「もう二十年以上前のことですから」
「今の話と、さっきの型、左利き。どうやら間違いなさそうだな」
武徳は、過去に世話をした男の子が敦志と知り、心底驚いていた。
優子はふたりの会話を呆然と聞き、ぽつりと疑問を口から零す。
「ど……どういうこと……?」
「アツシくんは、お父さんが稽古をつけていたのよ」
「お、お母さん!」
優子の疑問に答えたのは、ひとり遅れて姿を現した優子の母・美恵(みえ)。
敦志とヴォルフを道場に通したのも美恵のしたことで、武徳よりも先に敦志の正体に気づいていたらしい。
「だけど、一年経つ頃に引っ越しちゃって……。こんなに立派になっていたら、すぐには気づかないわけだわ」
道場の入り口から敦志の後ろ姿を見て、感慨深げに笑顔を零した。
「サオトメとユウコの両親は知り合いなのか?」
「……どうやらそうみたい、です」
この状況下で一番話が見えていないのはヴォルフだったが、雰囲気から察して優子に問いかける。
優子も初耳のことで驚愕していたので、ヴォルフの質問にもその程度しか答えることができなかった。
両親と敦志を順番に視線を送っていると、武徳が満足そうに笑って言う。
「アツシだとわかったし、今の組手を見たら練習次第ですぐに柾と同等にはなれそうだ。才能のあるふたりが跡継ぎ候補でいれば、うちの道場も安泰だな」
「ちょっ……なんでまたそうやって勝手に決めるの!?」
驚倒しそうになりながら敦志を指差して問うと、敦志は綺麗なお辞儀をし、真っ直ぐ見つめて答えた。
「ご無沙汰しております。その節は、本当にありがとうございました」
「早乙女敦志……そう言われたら、そんな名前だったかもしれないな……」
「もう二十年以上前のことですから」
「今の話と、さっきの型、左利き。どうやら間違いなさそうだな」
武徳は、過去に世話をした男の子が敦志と知り、心底驚いていた。
優子はふたりの会話を呆然と聞き、ぽつりと疑問を口から零す。
「ど……どういうこと……?」
「アツシくんは、お父さんが稽古をつけていたのよ」
「お、お母さん!」
優子の疑問に答えたのは、ひとり遅れて姿を現した優子の母・美恵(みえ)。
敦志とヴォルフを道場に通したのも美恵のしたことで、武徳よりも先に敦志の正体に気づいていたらしい。
「だけど、一年経つ頃に引っ越しちゃって……。こんなに立派になっていたら、すぐには気づかないわけだわ」
道場の入り口から敦志の後ろ姿を見て、感慨深げに笑顔を零した。
「サオトメとユウコの両親は知り合いなのか?」
「……どうやらそうみたい、です」
この状況下で一番話が見えていないのはヴォルフだったが、雰囲気から察して優子に問いかける。
優子も初耳のことで驚愕していたので、ヴォルフの質問にもその程度しか答えることができなかった。
両親と敦志を順番に視線を送っていると、武徳が満足そうに笑って言う。
「アツシだとわかったし、今の組手を見たら練習次第ですぐに柾と同等にはなれそうだ。才能のあるふたりが跡継ぎ候補でいれば、うちの道場も安泰だな」
「ちょっ……なんでまたそうやって勝手に決めるの!?」