ナイショの恋人は副社長!?
(あれ――? 副社長と似てる)
顔立ちそのものは、敦志は温厚そうだし、純一は冷淡ぽく見えていたから同じだとは今でも思えない。
では、どこが似てるのだろう。
優子はつい純一を見つめ、その答えを頭の中ではじき出す。
(ふたりを取り巻く雰囲気だ。というか、お互いに、相手のことを話している時の姿がそっくり)
まるで敦志を見ているかのような錯覚に陥り、ジッと視線を向ける。
その時、純一が優子を見下ろし、目を合わせると苦笑した。
「敦志は、俺にとって唯一無二の存在だ。だけど、俺はいつも守ってもらうばかりでアイツを幸せにしてやれずにいる」
優子は純一の切なそうな微笑みに目を見開く。
上手く言えないが、敦志が純一を慕い、守り寄り添いたいと思って生きてきた理由がなんとなくわかった気がした瞬間だった。
「どうか、敦志を……よろしく頼む」
「――はい」
背筋を伸ばし、小さい声ではあったがしっかりとした返答に、純一は満足そうに静かに笑った。
「……あの。差し出がましいことを言うようですが」
そこで、優子がぽつりと続ける。
「副社長は、社長とずっと一緒に居られるだけで幸せそうな顔をしている……と思いました」
優子の言葉に純一は顔を背け、片手で口を覆って呟いた。
「……そうか」
見れば見るほど、恥ずかしそうにする仕草や横顔まで敦志にそっくりな気がして、優子はくすっと笑ってしまった。