ナイショの恋人は副社長!?
*
「おはよう、優子ちゃん。今日は珍しく遅かったね? 寝坊した?」
「おはようございます。寝坊……みたいなものです。遅くなってすみません」
優子は、壊れたファスナーのスカートから制服に着替え、速足で向かう。
いつもよりも十五分程遅れ、持ち場の受付に到着した。
そこには、先輩社員の今本の姿がすでにあった。
「たまには寝坊もしちゃうよね。大丈夫だよ。遅刻してるわけじゃないし」
ニコリと親しみやすい笑顔を浮かべる今本に、優子はホッと安堵の息を吐く。
そして、朝業務である、受付カウンターを拭いている今本とすぐに交代した。
手が空いた今本は、ノートパソコンを開いて丸椅子に腰を下ろす。
「あ。今日、丸美商事の萩田さんが来る予定だって。あの人、優子ちゃんがお気に入りだよねぇ」
「そんなことないと思いますけど……。そうだとしたら、ありがたいことですけどね。こんな新人を覚えてくださって」
「本当、優子ちゃんは名前通り優しいんだから。私だったら、取引先の人じゃなかったら冷たくあしらっちゃうよ」
今本は優子を見上げ、感嘆の息を漏らす。
「私が新入社員の時は、おどおどとしてて挙動不審だった気がするな。優子ちゃんは肝が据わってるっていうか、堂々としてるよね。すごいことだよ」
心の底から感心して言うことに、優子は苦笑を浮かべるだけだ。
外見ではそう見られているのかもしれないが、優子だって常に自信があるわけでもなければ、動揺だってする。
それこそ、今朝、敦志に声を掛けられた時のように。
「そうかといって、ツンとしてるわけでもないし。後輩が優子ちゃんでよかったぁ」
笑って軽く顔を傾かせ、眉に掛かる前髪を揺らす。
そんな今本に、優子もまた微笑み返した。
「おはよう、優子ちゃん。今日は珍しく遅かったね? 寝坊した?」
「おはようございます。寝坊……みたいなものです。遅くなってすみません」
優子は、壊れたファスナーのスカートから制服に着替え、速足で向かう。
いつもよりも十五分程遅れ、持ち場の受付に到着した。
そこには、先輩社員の今本の姿がすでにあった。
「たまには寝坊もしちゃうよね。大丈夫だよ。遅刻してるわけじゃないし」
ニコリと親しみやすい笑顔を浮かべる今本に、優子はホッと安堵の息を吐く。
そして、朝業務である、受付カウンターを拭いている今本とすぐに交代した。
手が空いた今本は、ノートパソコンを開いて丸椅子に腰を下ろす。
「あ。今日、丸美商事の萩田さんが来る予定だって。あの人、優子ちゃんがお気に入りだよねぇ」
「そんなことないと思いますけど……。そうだとしたら、ありがたいことですけどね。こんな新人を覚えてくださって」
「本当、優子ちゃんは名前通り優しいんだから。私だったら、取引先の人じゃなかったら冷たくあしらっちゃうよ」
今本は優子を見上げ、感嘆の息を漏らす。
「私が新入社員の時は、おどおどとしてて挙動不審だった気がするな。優子ちゃんは肝が据わってるっていうか、堂々としてるよね。すごいことだよ」
心の底から感心して言うことに、優子は苦笑を浮かべるだけだ。
外見ではそう見られているのかもしれないが、優子だって常に自信があるわけでもなければ、動揺だってする。
それこそ、今朝、敦志に声を掛けられた時のように。
「そうかといって、ツンとしてるわけでもないし。後輩が優子ちゃんでよかったぁ」
笑って軽く顔を傾かせ、眉に掛かる前髪を揺らす。
そんな今本に、優子もまた微笑み返した。