ナイショの恋人は副社長!?
*
築数十年は過ぎてるアパートの一室。
決してオシャレとは言えない外観の建物だが、その部屋は綺麗に整頓されていた。
定時で上がった優子は、下は制服のまま真っ直ぐに帰宅した。
壊れたファスナーのスカートはそのままにして、夕食の支度をし終えたところ。
小さなテーブルにひとり分の食事を並べ、正座する。
「ふー」とようやくひと息吐くと、箸を手にして一度止まった。徐に顔を上げ、壁際に掛けた敦志の上着を見る。
本当は、帰宅途中にクリーニングに預けようかと考えた。
しかし、気づけばなぜか、そのまま持って帰ってきてしまった。
(これじゃ、ストーカーみたいだ)
見上げたスーツに罪悪感を覚え、フッと目を逸らすように食事に手を付ける。
(だけど……こんなこと、もう二度とないと思ったら、つい)
なにか悪用しようだなんて考えは毛頭ない。
ただ、もう少しだけ、彼の存在を身近に感じていたかった。
チラリと視線をスーツに戻し、至近距離で笑い掛けてきた敦志を思い出す。
(明日、出社前にクリーニングに出して行こう)
明日の予定を頭の中で立てながら、優子はひじき煮を頬張った。
築数十年は過ぎてるアパートの一室。
決してオシャレとは言えない外観の建物だが、その部屋は綺麗に整頓されていた。
定時で上がった優子は、下は制服のまま真っ直ぐに帰宅した。
壊れたファスナーのスカートはそのままにして、夕食の支度をし終えたところ。
小さなテーブルにひとり分の食事を並べ、正座する。
「ふー」とようやくひと息吐くと、箸を手にして一度止まった。徐に顔を上げ、壁際に掛けた敦志の上着を見る。
本当は、帰宅途中にクリーニングに預けようかと考えた。
しかし、気づけばなぜか、そのまま持って帰ってきてしまった。
(これじゃ、ストーカーみたいだ)
見上げたスーツに罪悪感を覚え、フッと目を逸らすように食事に手を付ける。
(だけど……こんなこと、もう二度とないと思ったら、つい)
なにか悪用しようだなんて考えは毛頭ない。
ただ、もう少しだけ、彼の存在を身近に感じていたかった。
チラリと視線をスーツに戻し、至近距離で笑い掛けてきた敦志を思い出す。
(明日、出社前にクリーニングに出して行こう)
明日の予定を頭の中で立てながら、優子はひじき煮を頬張った。