キャンディ
千輝
「だから。
お前の気持ちはどうなんだって聞いてんだよ。」
蕾
「どうって…。
そりゃ親も先生も大げさだなーとか思うけど
私は別に傍観者でもいいかなーって!
雰囲気だけでも楽しめればそれでいいよ。うん!」
千輝
「そうか。
まぁ、俺には関係ねーことだけどよ
嘘ついてんだろ。」
蕾
「え?何言って…。」
千輝
「お前の口は笑ってても
目が泣きそうになってんだよ。」
蕾
「………。
もうやだなぁ、委員長。
そんな事ないって~。」
千輝
「本当にそれでいいのか?」
蕾
「……!
……たい…。」
千輝
「ん?」
蕾
「私、やりたい…っ。
徒競走だってバトンリレーだってパン食い競争だって騎馬戦だって…っ
本当はぜーんぶやりたいよー!!!」
初めて神谷の本当の声…いや心が聞こえた気がした
屋上から空へ神谷の本音が響いていく
千輝
「そうか。
ま、体調わりぃんなら全部は無理かもしんねーけど…
お前にぴったりの競技あるから、ほら行くぞ。」
俺のくせに随分と野暮なマネをしたとは思ったが
その時、笑った神谷にはあの違和感はどこにもなくて
まぁ、悪い気はしなかったな