キャンディ
ヤンキー?過去編
※これは本編の一年前…
過去のお話し……。
入学して数ヶ月しか経っていないある男子高校生は
学校の帰りにある場所へ通うのが日課になっていた
千輝
「おーい、トラ丸!
飯だぞー、出てこい。」
千輝がそう呼びかけると、一匹の猫が茂みから出てきた
トラ丸
「みゃあ~」
千輝がトラ丸と呼んでいるその猫は、見た目からするとまだ子猫だ
彼はトラ丸が近付いてくると、辺りに人がいないか確認してからあるものを取り出した
千輝
「おら、今日は奮発して猫缶だ!
思う存分食いやがれ。」
口調こそ悪いが、彼がトラ丸へ向ける眼差しは優しさと温かさに溢れていた
千輝
「…ごめんな。
家じゃお前は飼えねんだわ。」
トラ丸の頭を撫でながら彼は切なげに視線を落とす
トラ丸
「みゃあ?」
だが、トラ丸の方は対して気にした様子もない
ただ目の前にあるごちそうを、美味しそうに平らげている
千輝
「あー悪ぃ。
お前は今が不幸だなんて思ってねーよな。」
彼はトラ丸が完食したのを見届けると、重い足取りで帰路を歩んでいった
それから数日後、彼にとってはいつもの放課後
トラ丸が待っているであろう公園へ向かった
だがその日はいつもとは違っていた
見慣れない制服を着た男子高校生が数人
他校の生徒だろうか
何かを囲むようにして彼らは会話をしている
口調から怒っているようにとれた
だが、彼らが囲んでいるその隙間から千輝が見たものは
トラ丸だった