複数人(ヤンデレ)に求愛されています

「いつも正面から見ているから、背中を見るのも新鮮でいいね。かわいい服だし」

「く、クラビスさんがくれた服、です」

本日の夕飯(モンスター)を狩りに森を駆けずり回る私は、オシャレとは無頓着だったが、彼が来てからは気を使い始めた。彼とてそれを分かってくれていて、贈り物によく服を用意してくれる。毎回、サイズぴったりの服を。スリーサイズ教えたこともないのに。

「そう聞くと、ズタズタにしたいんだけど」

「間違えました。隣のおじさんから貰いました」

「そのおじさんごとズタズタにしたくなった」

選択を誤った。かといって、コックさんは服を破いたりはしない。

「何かで、男が恋人に服を贈る理由は脱がせるためだと聞いたな」

「あ、では、これを脱がせていいのはクラビスさんだけなので、このまま私を見逃してくださーー」

「でもこっちはさすがに、贈り物じゃないよね」

こっち。それが意味するのはーー

「可愛いの履いているね」

「いやいやいやいやいやっ」

「記念に貰っておこうかな。色々と使い道があるだろうし」

「私が履く以外に何の用途が!か、返して下さい!さすがに恥ずかしいっ」

「短いスカートを贈った王を殺したいぐらいに恨んでね」

クラビスさんめっ!

と、恨んでいても何の解決にもならない。

何とかしなければと思っても、今の私は媚薬を口にし、体の自由はおろか、ろれつさえも回らずにいて。

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