複数人(ヤンデレ)に求愛されています

「と、いう感じに宰相さんを考察してみて、少しでもこの現状を理解しようと思ったのですが」

叫んでもいいでしょうか。

「やはりこれは、理解(容認)出来る事じゃありませんよっ!?」

じたばたと、現状打破を試みるもまったくもって無意味。

考察というよりも、現実逃避をしていた。

鎖で縛られて拘束程度ならクラビスさんにも時折やられている。正直、宰相さんが『幽閉する』と言ったとき、部屋に鍵をかけるか、最悪、ベッドに縛られるかどちらかだろうなぁと達観さえもしていたのに。

「クラビスさんにも、吊されたことないのにぃ!」

人生初体験だ。
というよりも、私以外にこんな体験をする人はいるだろうか。

天井から伸びる二本の鎖が腕に巻かれ、万歳の姿勢のまま、拘束されている。レベルが高いやり方だ。

振り子の原理で鎖を壊そうにも、宰相さんが目の前にいて体を押さえてくる。

「駄目だよ、動いたら。腕に痕がつかないよう、布を当てて鎖を巻いて、肩に負担がないようつま先だけは床につけているけどーー無理に動くと、肩から脱臼するよ?」

「半端な優しさは却って人を傷つけるのですよ!?」

ところどころに私への労りがあるのに、結局のところ私の負担にしかならないじゃないか。ぷんすか怒れば、困った顔をされる。

「こうでもしないと、君は逃げるだろう。こらこら、蹴らない。げしげししない。ーーあれ、下着」


しまったああああぁ!

慌てて太ももを閉じるが時すでに遅し。
驚いたような宰相さんが、すぐに何かを察したかのように笑う。

「そっか。俺のもとに来るのに、“準備”してきてくれたんだね」

「ちがいますちがいます!私だけに特化した解読スキルを持ってすれば、私の心をお見通しなのではないですか!?」

「フィーナも待ち焦がれていたんだね」

肝心なところで都合の良いように改竄されるスキルだった。

太ももをこすられる。スカートの中に入る直前に止まり、また膝まで下がる。

「君にはたくさん焦らされたからな。ここまで来るのに長かった。少しは俺の苦しみも味わってもらおうか」

彼曰わくの“準備”してきた箇所は後回し。

真逆の上。キスをされた。

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