複数人(ヤンデレ)に求愛されています

「ゲノゲさん……え?」

にしては、大きい。私が知るゲノゲさんは拳大の大きさなのに、今近づいてくるゲノゲさんは顔ほどある。

な、なんて。

「ふわふわモコモコなのでしょうかっ」

片手でグニグニするだけでも癒しなのに、大きくなって両腕でギュウギュウ出来るなんてっ!

「こ、コンニチハー」

「あ、ごめんなさい。コンニチハー」

基本、ゲノゲさんは人間に教えられた言葉しか話せない。会話は成り立たず、オウム返しのみ。しかもか日付が変われば忘れてしまう。

生きた手紙として役立つこともあるゲノゲさん。ここで、ヘルプミーと助けを呼べば誰に届くのだろうか、あ、彼か。

苦しそうにコンニチハーされたので、腕の力を弱める。離さずにナデナデしていれば、眠たそうな眼がうっとりと垂れていく。

「キモチー」

「そうですか、そうですか」

「もっと、ミギー」

「ここを撫でればいいのでーーへ?」

ゲノゲさんと会話が出来ていることに驚く。

「げ、ゲノゲさん?」

「ナニー?」

「私の言葉理解しているのですか」

「シテイルノです」

「レアゲノゲさんだー!」

すごいすごいすごい!
ふわふわ二倍だけでなく、話せるなんて!


「ああっ、初めてこの夢に来れて良かったと思いました」

これからは、このゲノゲさんを、レアゲノゲさんとして、チュウノゲさんと呼ぶことにしよう。

「私の夢だからこそ、チュウノゲさんが産まれたのですね」

「チガウー。ボクのゆめ」

「え?」

「チガウー。ボクもゆめ」

「んー」

いまいち、話が掴めない。
ハテナを浮かべていく内、そういえば、ゲノゲさんもアップルパイを食べていたことを思い出す。

夢の共有とか言っていたし、あのアップルパイを食べた人は私の夢に来てしまうのか。

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