複数人(ヤンデレ)に求愛されています

「だとすれば、本物の彼もここに」

間違いなくいる。
もみくちゃにされる私を見てみたいとも言っていたし、現在進行形でどこからか覗き見ている可能性だってある。

「早く出てきて下さいよー。愛するのは一人でいいと言ったではないですかー」

無意味な叫びは無意味でしかない。
本気で私が失神するほど、よろこぶ姿がご所望らしい。

「今日はいくら何でも、怒っていい日ですよね」

そのためにも、見つけなきゃいけないが。私を追っている中に、本物がいるとは思えない。

もっと別の場所だ。そう、彼ならばきっと。

「チュウノゲさん、どこかで立派な建物、お城とか宮殿とか、魔王城とか天空の城とか、そういった偉い人がいそうな場所を見ていませんか」

「おしろ、アッチー」


や っ ぱ り か。


高みの見物らしく、どこかの偉そうな場所にいると思ったけど、当たりらしい。

早速、チュウノゲさんの案内によりお城へ向かう。

村周辺の森の全貌は昔から見知ったもの。何一つとして変わらない森の中、無理やり埋め込んだかのような立派なお城が建っていた。

周りを白い城壁で囲み、何十年もかけて作り上げたかのような白い建物は見ようによっては、教会のようでもあった。

さて、本当にここに彼がいるかが問題だけど、建物の真ん中に『フィーナすきすき城』と書いた看板があるので問題の文字は叩き割られた。



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