青い春
「本当は桜の木の下が良かったけどねぇ、仕方ないし。」
真剣な顔をして、カメラのセットに勤しむ琉二を見て、言葉が喉までせり上がって来る。
「ねぇ、」
伝えよう。僕の思いを。
淡いこの気持ちを成長させるのだ。
「どうした?」
きょとんとした顔をする琉二。
カメラのタイマーが動き出す。
琉二が隣に立つのを目で追って、再び口を開いた。
「高校でも、大人になっても、おばあちゃんになっても。隣にいるのは琉二、君がいい。」
シャッターが切れた。
きっと出来上がった写真には嬉しさ半分、驚き半分といった様子で赤面した少年と。
わずかに頬を染め、満面の笑みの少女が写っているのだろう。
己を包むぬくもりに、ボクはそっと体を預けた。
*END*