青い春

「本当は桜の木の下が良かったけどねぇ、仕方ないし。」


真剣な顔をして、カメラのセットに勤しむ琉二を見て、言葉が喉までせり上がって来る。


「ねぇ、」



伝えよう。僕の思いを。


淡いこの気持ちを成長させるのだ。


「どうした?」



きょとんとした顔をする琉二。


カメラのタイマーが動き出す。


琉二が隣に立つのを目で追って、再び口を開いた。


「高校でも、大人になっても、おばあちゃんになっても。隣にいるのは琉二、君がいい。」


シャッターが切れた。


きっと出来上がった写真には嬉しさ半分、驚き半分といった様子で赤面した少年と。


わずかに頬を染め、満面の笑みの少女が写っているのだろう。



己を包むぬくもりに、ボクはそっと体を預けた。



*END*
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop