s m i l e .
声が聞こえた方を見なくたって分かる。私の大好きな人だ。

胸が高鳴る。足音が近付く。
...足音が止まった。

勇気を振り絞って、振り返った。

「...桜さん?...ですか?」

びくりと体が震える。大好きな人に名前を呼ばれて照れるなんて、小学生か私。

「はい...ゆ...悠さんですよね...?」

「はい!そうです!僕のこと知ってくれてるんだ!嬉しいなあ...へへ」

「―っ...当たり前じゃないですか、大好きですよ」

自分から言っておいてハッと我に返る。あっさり告白してしまった。これじゃあただの変人だ、私は。

「わ...桜さんが僕のファンだったなんて...ありがとうございます!!」

「...い、いえ...」

胸がチクチクする。これで良かったはずなのに、なぜか胸が苦しい。

「今日は一緒に頑張りましょう!」

悠さんの聞き慣れた声が妙に胸を痛める。

「はい...!」

やっぱり私、悠さんのことが――
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