風を浴びて
それから女は謝罪することなく連れていかれた。

次の日から由宇の両親は裁判のことで大変そうだった。二人がこられない日でも、由奈は毎日お見舞いに来ては目が覚めるのを待っていた。


「由宇…お母さんたち今毎日大変なんだよ…」

「…」

「私なら大丈夫だからさ、由宇も目が覚めたら一緒にプリン食べよ」

「…」


手をさすりながら声をかける日々が何日も続いた。
半年が過ぎ、ようやく判決が出た。
運転中に携帯で話していたのは、由宇が事故に遭った交差点だけではないらしく、その前から信号無視をしながら走っていたこと。
それから本人に反省の色が見られないことから危険運転傷害罪で判決が言い渡され15年以下の懲役が科せられた。


裁判が終わってからも、由宇の両親が見舞いにこれる日が増えたこと以外何も変わらなかった。
< 4 / 12 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop