ハニーミルク。
そんな先輩の名前を知ったのは、
ある噂を耳にしたときだった。
ーーー・・・
『・・・ねぇ、ねぇ。
みて、あれ、
高崎涼也先輩じゃない?』
ある日の放課後。
静かな図書室で読書をするのが日課の私は、
その日もお気に入りの本を手にとって読んでいると、
不意に聞こえた女の子二人の会話。
『ほんとだぁ!噂の‘‘冷血王子’’だよね。今帰りかな?かっこい〜!』
図書室の窓から見える
校門に向かって帰る生徒の一人を指差して
楽しそうに話している二人をみて
なんとなく気になって、私もそちらの方にこっそり目をやってみる。
「………….…っ」
あっ、この間みた先輩だ。
二人の会話の内容は、
この間みた先輩のことだとすぐわかった。