トイレには…
スマホをいじりながら待っていると、千尋が出てくる。
「ごめんねー、お待たせ。毎回ありがとうございます!」
おどけたように話す千尋にため息をつくと、啓人は千尋の右手を握り歩き始めた。
部屋に到着すると、啓人がため息をつきつつ話しかける。
「千尋、お前何でそんなにトイレ一人で行くの嫌がるの?何かあったわけ?」
啓人の言葉に、あ、えっと…と意味不明な言葉を発する。視線もあちらこちらにうろうろとしていたが、啓人が不審そうに見ているのに気づくと、意を決したような表情で話し始めた。
「あのね、実は小六のとき・・・」
千尋の話を聞き終わると、啓人はもしかして…と呟く。
「え、何、あの小学校にも学校の怪談的なものがあったの?」
啓人の呟きに、恐々と千尋が尋ねる。
「あったの?って… むしろ、俺はお前が知らなかったことの方が驚きだ。・・・知らなかったなら、今から教えてやる」
返ってきた答えに、全力で拒否するも、時すでに遅し。啓人は話し始めていた。