トイレには…


スマホをいじりながら待っていると、千尋が出てくる。


「ごめんねー、お待たせ。毎回ありがとうございます!」


おどけたように話す千尋にため息をつくと、啓人は千尋の右手を握り歩き始めた。


部屋に到着すると、啓人がため息をつきつつ話しかける。


「千尋、お前何でそんなにトイレ一人で行くの嫌がるの?何かあったわけ?」


啓人の言葉に、あ、えっと…と意味不明な言葉を発する。視線もあちらこちらにうろうろとしていたが、啓人が不審そうに見ているのに気づくと、意を決したような表情で話し始めた。


「あのね、実は小六のとき・・・」


千尋の話を聞き終わると、啓人はもしかして…と呟く。


「え、何、あの小学校にも学校の怪談的なものがあったの?」


啓人の呟きに、恐々と千尋が尋ねる。


「あったの?って… むしろ、俺はお前が知らなかったことの方が驚きだ。・・・知らなかったなら、今から教えてやる」


返ってきた答えに、全力で拒否するも、時すでに遅し。啓人は話し始めていた。
< 11 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop