My Fair Farewell
今となってはぜんぶ言えばよかったと、すこしだけ後悔していたりするけれど、
たとえば時間を巻き戻せたとして、わたしは結局言わなかったんだろう。
そんなとりとめもないことを考えて、もう一ヶ月が経った。
アイスカフェラテの水面をぼんやりと眺めていると、
コト、とグラスを置く小さな音がして、わたしは顔を上げた。
向かいに座る裕と目が合った。
このひとと別れて、もう一ヶ月が経った。