幽玄の國に誘われ
第2章~ 摩訶不思議な地~
…………あれは、まだ 私が幼い頃。
気づいた時にはもう、
私は一人ぼっちだった
どこから来たのかも親が、誰なのかも分からず
ただ気づいた時には、
深い森の中にいた。
唯一 覚えているのは''胡珀''という名だけ
しばらくして、私は大人に見つかり
孤児院へと連れていかれた。
当時の私には、感情というものが分からず、
ずっと無表情でいた、それに加えこの容姿だ。
他の人間とは異なる容姿
子供とは思えない雰囲気があったせいで
私は 他の子達から気味悪がられ孤立してしまった
そして、小学にあがってからは 陰湿ないじめにあっ
た。私は 精神的にも身体的にも耐えられなくなり
あの日の夜、こっそり孤児院を抜け出した。
だが、行く宛などない私は 最初に目覚めた森へ戻っ
てきた。 しばらく その森でさ迷っている時に
お義祖母ちゃんに出会ったんだ────
────ポチャン……
「ん……ここ…は……?」
目を開くと、そこは見知らぬ家の寝室らしきところ
だった。私は 上体を起こし、周りを見回すも人の姿
が見当たらない。
「ここ……どこだろ……」
未だに うまく働かない脳を総動員させなんとかこの
状況を理解しようとするが あの光に当てられたせいか思うように脳が働いてくれない
「なんで、私 こんなところに……?」
1人呟くも、当然その問いに応えてくれる者はいない。
しばらくすると、ふいに部屋の戸が開かれた。
「起きていたのか」
そこには、手に桶を持っている青年がいた。
男の人は、私が寝ていたベットのようなところまで来て、桶は下に置いた。
私は その動作の間ずっと男の人に魅入られてしまった。
それもそのはず、彼の容姿は驚くほど美しく、端正な顔立ちをしていたからである。紺に似た色の髪、瞳は宇宙から見た地球の海の色のような瑠璃色だった。
見とれぬほうがおかしい…
「……なんだ?俺の顔に何かついているのか?」
「い、いえ!!なんでもありません!!」
しまった……つい見すぎてしまった……変な人だと思われたかも……
私は 視線を下に落としてからまたチラッと彼を盗み見た。
すると、彼は桶の中のタオルに手を付け、タオルを絞った。
私は思っていた疑問を口にした。
「あの、すみません」
「なんだ?」
「一体 ここはどこで……あなたは誰ですか?」