幽玄の國に誘われ
「じ、実は、私もよくわからないことだらけで、ですね……気づいたらここにいた、といいますか……」
現実とは、理想通りにいかないもの…
実際にはオドオドとつっかえながら言ってしまった。
(私の意気地無し!!)
私が再び羞恥で目をぎゅっと瞑っていると「うむ……」という声がしたので、私はおそるおそる目を開けた
男の人は何かを考え込むように顎に手を当てていた
「物の怪にでも化かされたか…あるいは……いや何でもない」
「な、なんですか!!そこまで言われる気になるんですけど!!」
「うるさい、騒ぐな ……それよりもうしばし横になっていろ まだ体力は回復していないのだろう?」
私を気遣う彼の言葉に素直に従い、もう少しだけ寝ることにした、
横になり、目を閉じるとすぐに寝付くことができた
────起きて 胡珀
(う〜ん……今度は何……?)
胡珀が目覚めるとあたりは白い空間が広がり、そこ に私は1人ぽつんと立っていた。
────胡珀 突然この世界に連れてきてしまい申し訳ありません……
(あなたは……というかあなた達は一体何者なの?)
────私は、あなた……いやそれはちょっと違うか……
(?……それは一体……)
────ごめんなさい…今はまだ言えない だってあなたはまだなにも思い出してはいないのだから
(思い出すって何を……)
言い終わる前に、意識がだんだん遠のき始めた。
────……本当は思い出さないことが
あの子にとって幸せ…なのでしょうか……
''声''が何かを呟くも胡珀の耳には届かなかった。