幽玄の國に誘われ


「…ふぁ……なんだか休めた気がしない……今 何時だろ……お義母さん心配してるよね……」





義母が私の帰りを待っているところを想像して 少しだけ頬を緩めた





「帰りたいな……」





いや、帰っても今はあそこに私の居場所はないのだろう……だってあの人がるのだから…… それでも、





「帰りたい」





温かなあの場所へ。偽物でもなんでもいい あそこが私にとっての家なのだから…



私が膝を抱えていると











「~~~!~~~」






突然下の階から騒ぎ声が聞こえた。私は寝所から抜け出し、襖をそ〜っと開け 外を確認してからなるべく足音をたてずに部屋から出て下の階に繋がる階段を探した。






「え〜と、階段は……あった!」






階段を見つけ、私は下から聞こえてくる声に耳を澄ました。






「ですから!先刻前にこの山が突如光ったのを何人も
の人が目にしているのです!何か知ってることがあるのでは?!」





「はて、俺はそんなこと知らぬ 仮に光っていたのだとしても俺は地下で作業していたからな」




……あの人、地下で何してるんだろう…というか!

えっ!?なに!山光ってたの!!先刻前ってよく分か
らないけどそれってもしかしなくても私のこと!?
わ〜どうしよう!!

と、慌てていると後ろから何かの気配がしたのでピタッと動きを止めた







「………………」









(う、わぁぁぁぁぁ 後ろに何かいるよね?これ……うん絶対に何かいる!まさか「ゆ」から始まって「い」で終わるヤツ?!)





後ろを振り返りたくないが、とても気になるので恐る恐る 背後を振り返るとそこにはなにやら可愛らしい幽霊が〜って!








嘘!嘘!!なんか想像してた火の玉となんか違う!!なにこれ なんで左右に揺れてんの!?これならまだ姿形がハッキリしてるほうがよかったよ!!これ絶対意思持ってるでしょ!!





私は我慢出来ずに、とうとう










「い、やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」







という、大声を上げてしまった。しまったと思い口に手を当てた時には時既に遅し、当然 下にいた人達にはばっちり聞こえているのであって 「何の声だ!?」と言っている





わぁぁぁ 私のばかぁぁぁ






「中を調べさせてもらう!」






「はぁ 好きにしろ」






すると、数人の足音が階段に近付いてきた。私が隠れようとする前に、男達は階段につき私を見た。



すると、男達も私も目を見開いた。




男達は4・5人いて、全員揃いの袴を着、オレンジの線の入った紅い衣を纏っていた。


しかも、腰にはちゃんと刀まで……




じゅ、銃刀違反ですよ!! というか、さっきの火の玉どこいったぁぁぁ!!




ってそんなこと考えてること場合じゃない!!!

ど、どうしよ〜




後から、こちらに来た彼をみると若干苛立ちの入った顔をしていた。




う、うわぁ〜あの顔は「おいてめぇ 何声上げてんだ 状況分かってんのか ぁあ?」的な顔だ……眉間に皺も寄せちゃってるし…怖いよ〜





「おい!獅騎 この女は誰だ!!」





「……俺の親族だ……」





あ、今ため息混じりに言いましたよね?それでも庇ってくれるなんて 優しい人なのかも






「突然 俺の所に 転がり込んできてな いい迷惑だ」






前言撤回 今分かりました あの人俺様な暴君です!きっと!!






「はっ!お前に親族などいるものか!聞いておるぞ お前の家族や1族は野獣共に皆殺しにされたとな」






え……皆、殺し……?



男が言った言葉が私の頭の中で繰り返し呟かれた。






「とにかく、女には我らが主 美夜姫様のもとへ来てもらおう!!」





男の人は私を指さして そう言ってきた。



当の私は当然、






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